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日本ワーグナー協会 バイロイト報告 マイスタージンガー [その他]

 ワーグナー協会のバイロイト報告会、今年は、既にNHKBSで放映された、新演出のニュルンベルクのマイスタージンガーについて、説明された。
 演出家バリー・コスキーは、オーストラリア生まれの50歳、祖父母の代に移民してきたユダヤ人。ヴァーグナーの反ユダヤ思想が顕著に現れているマイスタージンガーの演出をカタリーナから依頼され、半年考えさせて欲しいと言ったそうだ。コスキーは、ミュージカルとオペラを区別していないとのこと。(私個人的にも第一印象は、ミュージカルのようだということだった。)
 前奏曲と同時に舞台が始まり、場面はヴァン・フリート、そこにリスト→ポークナー、コジマ→エーファ、ヴァーグナー→ハンス・ザックス、ヘルマン・レヴィ→ベックメッサーが登場する。そして、劇中の→の人物になる。ベックメッサーは、初めから、差別的に扱われる。
 一幕終わりで、証言台や、連合軍4カ国の国旗が舞台に登場し、ニュルンベルク裁判の法廷への伏線が見られる。二幕の舞台は法廷の壁に囲まれた芝生、最初寝転んでいるのは、ヴァーグナーとコジマであり、すぐにザックスとエーファに移っていく。最後乱闘の場面で、ベックメッサーはやっつけられ、ユダヤ人を誇張したワシ鼻の模写絵のような面を被され、隣で膨らむ、面と同じ顔の風船の頭にユダヤの星が大きく描かれ、観客に見せつける。夜警は姿を現わさないが、直後に、アメリカのMP(憲兵)の白いヘルメット姿の黙役が立つ。
 3幕はニュルンベルク裁判の法廷のセット、その中で、作品の筋書き通りの劇が演じられる。5場(NHKでは2場)ではコアが大活躍し、舞台を駆け回る。最後までベックメッサーは差別され、ひどい歌を歌い、摘み出された後、二度と舞台に戻らず、追放されたという扱いだ。ザックスの大演説の後、舞台上にオケ(の演技)が残り、後ろへ下がってフェードアウトする。ザックスの芸術についての訴えの後、音楽が残り、その判断は、聴衆に委ねる、と解釈できるかもしれない。
 ベックメッサーは、どんなプロダクションでも、大概一番人気となるものだ。コスキーはヴァーグナーに批判的であったはずだが、結果として演劇的に面白すぎるベックメッサーを描いてしまった。
 全幕とも始まりに、字幕が出て、1幕は、場面説明、2幕はコジマの日記からだが、3幕のシュレーゲ・ナハトムジークというのが、シュレーゲ・ムジークという、双発の戦闘機で、英国軍機を斜め下から攻撃する作戦のことを言っているようだが、劇中の場面とは関係なさそうだ。また、時計がぐるぐる反対回りすることなど、まだあちこちに、疑問点は残る。
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読響サマーフェスティバル2017《三大協奏曲》ー岡本侑也 [コンサート]

 オペラシティでコンチェルト3曲プロ、18:30開演だが、会場はお客さんで一杯だった。
 6月のエリザベートコンクール以降、岡本侑也さんがドヴォコンを弾いたのかどうか知らないが、あのときより冷静で、1楽章は前のように繊細に歌わず、3楽章を頂点に音楽が構成されていたような印象だった。始まってすぐ、もう、ドヴォコンは、特別ではなく、コンサートのレパートリーなんだなあと感じた。
 聴衆は、その日の演奏が、唯一の体験、奏者を知るよすがだ。
 印象としてだが、 ボムソリさんと、岡本さんは、テクニカルな面では完璧だったが、何か表現の部分で実は語り尽くせない部分が残ったのではないか気がかりだ。一方、ピアニストのハリトーノフさんは、我が道を突っ走り、ものすごいテンポで弾きまくった。座席が前の方で、視覚を重視したため、ホールにどんな音が響いていたのかわからないが、近くでは、ピアノの音はキレイという感じではなく、若さと迫力が、前面に出ていた。
 若い人の演奏が変わっていくのは当然で、岡本さんの演奏は、コンクールの時より、大人っぽくなったように感じた。これは、コンクール直後に、東京で宮田大さんのショスタコ1番を聴いた時の、老成しているという印象と共通するところがあった。次は、10月シティフィルとのロココの共演。場所も同じオペラシティ、楽しみだ。

指揮=海老原 光
ヴァイオリン=キム・ボムソリ
チェロ=岡本 侑也
ピアノ=ダニール・ハリトーノフ

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23い
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「わ」の会 北とぴあ [コンサート]

 帰国してまだ、時差ボケからもどらないうちに、日本人歌手の黄昏のコンサートを聴いた。聴衆は、池田香織さんを応援する気持ちで来る人が圧倒的に多いのではないだろうか。昨年池田さんは二期会でイゾルデを歌いきった。この日は、黄昏のブリュンヒルデ。自己犠牲は、堂々として素晴らしかった。2013年ワーグナー生誕200年の記念演奏で聴いたときから比べても、一まわりも二まわりも、ワーグナー歌手として充実してきて、魅力が倍増した。どんな分野でも、身近で敬愛する人材が、活躍の舞台に躍り出る姿を見られることは幸せだ。
 バイロイトでいっしょだった仲間たちにまた会えて、何だか、まだ、バイロイトが続いているような楽しい晩となった。
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北とぴあ1階のキリンシティにて
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バイロイト音楽祭2017マイスタージンガー(8/19) [オペラ(海外)]

 ついにバイロイト最後の演目となった。早朝から並び、一番に当日券をゲットした。席はパルケットの少し後方だがほぼ真ん中、当日券は本当に良い席が出る。但し、出るとすればのこと、前回のマイスタージンガーは1枚も出なかったそうだ。今回予め一枚は持っていたので、今年のチケット争奪戦も幸い成功裏に終わった。
 もう一つの席は、来られなくなった方から譲り受けた、プラチナチケットで初めてバイロイトで一列目に座った。両サイドはどんな人か気になるが、どちらも英語を喋っており、左側はご夫妻、ご主人は一幕が始まるとすぐうつむいて、眠り始めた。私も時折睡魔が襲ってきたが、耐え忍んだ。右側の男性は若かったが、3幕でダウンしていた。つまり、一列目は、特別なお客様の席(ご招待)ということなのかもしれない。周りを恐れる必要無し。
 他の劇場も含め、Wagner で最前列に座ったのはとても久しぶりのこと、指揮者に視線を送る歌手と目が合うように感じる恥ずかしい瞬間も、たまには良いものだ。驚く程舞台の隅々まで見渡せ、コアの人たちの演技もとてもはっきり見え、3幕5場(NHK では2場)お祭り場面のストップモーションで男声だけ歌っている様子は見事だった。激しい動きの後の発声は本当に大変だと思うが、観客に全くそのことを感じさせないのは、さすがにプロだ。
 他にもTaffの講演で、舞台裏の話を聞いていたので、何度やっても失敗のない完成した舞台に敬服する。
 音楽の緻密さという点では、ペトレンコのマイスタジンガーとは比べられないが、緊張しない、楽しい舞台を鑑賞できるという点で、時々オケがばらばらに聞こえるJordanは、聴衆の気持ちを掴んでいると思う。
 歌手陣も、不調の人はおらず、Vogtは美しさが要求される役柄にはぴったりで、やはりどこか、人間離れした楽器のような声には魅了される。喉が締め付けられるように聞こえるときもあるが、それがVogtの歌い方なのだと受け入れたい。どんなに近くで見ても、登場人物全員が役者で、エンターテイナーで、しいていうなら、Eva役のSchwanewilmsだけが、声がよく聞こえず、少し役柄と雰囲気が合っていないようで、動きもしなやかさに欠けていた。Volleはサイン会ではとても人懐っこい感じだったが、ちょっと強面のハンスザックスは名演だと思う。内容の解釈については、学者先生にお任せすることにして、3回聴いて印象が変わらないのは、危なげのない完成された舞台だからだろうと満足した。
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出番前でも余裕のフォレ
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バイロイト音楽祭2017 トリスタンとイゾルデ(8/16) [オペラ(海外)]

 この日、客席がやかましく、出だしが聞こえなかった。チェロも3回目の跳躍で音を外したので、これではティーレマンもご機嫌が悪いかと思いきや、前回、メルベートがイゾルデを歌ったときとは、全く違う、ドラマティックな方向に音楽が進んでいった。ラングも面目躍如の演技だった。これが、今年の本物だったのかと納得。感情むき出しの演技と、うねりのあるティーレマンの音楽に、心かき乱され、この気分を逆撫でする暗い舞台から、美しい何かを発見したいという思いに駆られた。これが、本来の上演の方向であれば、演技が必用なのが分かる。前回はティーレマンも我慢して、美しくまとめたのだろうと想像した。初年度のヘルリティウスの絶叫が強く印象に残っているが、ラングはさほど気になる絶叫は無く、激しい情念に燃えるイゾルデを演じ切った。
 前回の舞台と比較すると、やはり、穏やかな美声よりラングの情念の方が説得力があり、このプロダクションには適任であると思った。毎年演出は少しずつ変化する。このプロダクションには、多くの人にとって共感しがたい人物像があり、ひょっとして、これから意外な方向へ演出が変化するなんてことも、あったりするのだろうか。
 ただ最後に驚いたのは、3幕まだ幕が降りきらないところで、フラブラ、ではなくフラ拍手があったことだ。Metならともかく、まさかバイロイトで、しかも棒を下ろすまで、拍手を許さないティーレマンの背後で ! マエストロがニコニコとカーテンコールに登場してくれて、ほっとした。邪推すれば、前回一回抑えざるを得なかった分、この日は、客席に関係なく、自分から燃焼したかったなんてことはないだろうか。2回聴けたからこそ、この日の感動は格別だった。
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Ebermannstadt、Streitbergビール巡り(2) [ビール]

 ForchheimからEbermannstadtまでは、DBの代替えバスだった。Ebermannstadtの少し先が工事中とのこと。着いてみると、小さいが水の豊かな町だった。町の入口の古い水車が歴史を語っている。
 宿はSchwanenbraeuという町で一番大きい、Hotel、Brauerei、Gasthofということだった。町外れに、息子さんの経営するBiergartenがあるので、川沿いにぶらぶら歩いていくと、17時開店を待つ、地元のおじさんがもう、勝手に店の座布団を持って行き、日差しに立ち向かうかように、ベンチに座っていた。ここは、窓口に自分で買いにいく伝統的システムだ。
 木の下に座って飲んでいると、バイクで周辺20kmツーリングしてきたご夫妻が同じテーブルにやってきた。チャイニーズかと聞かれ、日本人だというと、二人のバイクが、KawasakiとHondaとのこと。話の導入にもってこいだ。バイクで旅する人たちは概ね自由人で、日本にも興味あるものの、車で予約無くとも泊まって旅できるかと聞かれ、それは難しいと言うと、アメリカのネバタ州を車で旅したが、予約なくてもモーテル宿泊は問題なかったと。広さが違うし、日本は狭いからと言い訳した。興味あるのは中央アルプスと北海道、日本の自然を見たいそうだ。最後に奥さんが名乗ってきたので、私も連絡先を渡してた。旅先で話しかけてくる人は、日本に来たことがあるか、興味がある人たちだ。
 バイクでビアガーデン巡りをしていると見えて、虫がビアジョッキに入らないよう、蓋を持参していた。よくコースターで蓋するが、我々は、虫はあまり気にならない。
 ビアガーデンが、気持ちよく連れ合いはどれほど飲んだのか、宿に戻って、まだ日は暮れていながったが、朝までぐっすり、眠ってしまった。
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 翌日は、城壁を散策しながら、バイロイトに戻った。
EbermannstadtからPegniz行きのバスは、学校が休みの為、ワゴン車だった。大きなバスの後ろに到着し、まったく気づかなかたら、運転手さんが迎えに来てくれた。でものんびりしており、定刻になっても、運転手さん同士おしゃべりしていて、一向に発車せず、同乗者の女性が、約束があるから、バスを出してくれと言いにいった。
 私たちは、鍾乳洞のあるStreitbergで下車し、古い城塞に登ってから、Binghoehleという鍾乳洞を見た。大きさは前に行ったTeufelshoeleほどは大きくはないが、説明のお姉さんは純粋な石灰と氷だけなので鍾乳石が白いと自慢していた。見学は7ユーロ、写真撮る場合は1ユーロ支払う。今回ヘッドランプ持参で、よく写真が撮れた。
 次に道路反対側の城塞Neideckへ上り、素晴らしい景色を堪能した。頂上で買ってきたサンドイッチを食べようと思っていたが、麓のプール横に、またもやビアガーデンを発見、下山して、ビールにサンドイッチということになった。
 帰路のペグニッツ行きバスは、気づけば、このあたりの城塞街道を走るバスで、Goessweinstein、Pottensteinを眺めながら、以前行った時のことを思い出し、楽しいルートだった。

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Forchheim, Bierwald ビール巡り(1) [ビール]

 ニュルンベルク交通(VGN)の一日券(19,1EURO)を使って、軽いBier-wanderung をした。
 朝食抜きで、朝8時バイロイト中央駅発の電車に乗ったが、途中電車が遅れ、乗り替えるはずの電車が行ってしまい動揺したが、今年はiPhon をSIMフリーにして、現地でT-comを入れてあり、VGNアプリも使っているので、すぐに立ち直った。
 Bamberg で乗り換え、Forchheimへ。 ここは、城塞都市で、14世紀の市庁舎の窓が、クリスマスにアドヴェントカレンダーの装飾になることで、今日では知られている。市庁舎や王宮は、静かな中世の趣があり、川沿いの建物の風景は、規模は小さいがバンベルクにも似ている。そして、ビールで有名な町でもある。
 Infoのお姉さんがとても親切で、バイロイトから休演日に来たと言ったら、よくぞ、Forchheimを選んでくれたとお礼を言われ、今日半日の滞在だと言うと、Bierwaldで昼に営業している店を電話で探してくれた。町中には、4つのBierbraeu があり、Bierwaldは町外れの山一つが、天然の冷蔵庫Bierkellerになっており、現在では、24のケラーに隣接して、ビアガーデンがある。訪ねたのは、木曜日昼だったのだが、2件だけ開店しており、一番奥のケラーは、市内でお店を素通りしたNederkeller だった。森の中のひんやりした空気のビアガーデン、日本には無いだろう。
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バイロイト音楽祭2017ーニュルンベルクのマイスタージンガー(8/15) [オペラ(海外)]

 バイロイトに来てから、もっと良い席が手に入ったのでチケットを売りたいという話が来て、ロジェ2列目を譲ってもらった。舞台全体が良く見え(パルケットだと、前が巨人族だと全然見えないことがある)、オケの音は抑えられ、歌はよく聞こえ、椅子はふかふか。連れ合いは、Mittelloge につづき、このLogeが気にいいった様子だ。でも、私はParkettで、オケの音が響いて聞こえる方が好きだ。
 前回ギャラリー席で聞いたときには、オケと合唱がかなりずれて聞こえたが、今回は、あまり気にならなかった。やはり視野が広いと、見ていて楽しい。舞台上の動きは、音楽に比べると、プレミエから完成されており、この表現の豊かさが、他の演目の演技にも影響を与えているのではないかと、ふと思った。
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マイスタージンガーのワーグナー手書き譜(Wahnfried 展示中)
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バイロイト音楽祭2017ーパルジファル(8/14) [オペラ(海外)]

 一つ前の公演では、Haenchenが病気になり、Janowskiが代わりに指揮し、快速なテンポで、予定時刻より早く終了したという噂が飛び交っていた。この日は復活し、お元気そうだった。昨年より、とても印象が良くなっていて、嬉しい。昨年は、少しがっかりしたが、やはり指揮者交代で準備期間が足りなかったのかもしれない。今年は間違いなく、マエストロHaenchenのパルジファルがこれなのだと、伝わってくる。席もパルケット後方で、オケの上に上がった音がちょうど降りてくるあたりで、心地良かった。
 Schagerのパルジファルは、強靭で、イメージとしては、ジークフリートのようだった。声も大きく逞しい。疲れを知ず
らない歌に、やはり感動する。演技も上手で、Vogtよりこの舞台には合っている気がした。
 昼は、ヤノフスキのサイン会があった。舞台上で見ると歌手の体格が立派過ぎるため、小柄でひ弱な老人という印象だったが、ご本人を前にすると背も高く、何よりお声が朗々と響くバスで、質問にも考えながらはっきりお答えになり、大分印象が変わった。歌手ではないので、さすがにご自身の舞台写真などはお持ちにならないが、プログラムに気軽に笑顔でサインを頂いた。
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バイロイト音楽祭2017ー神々の黄昏(8/13) [オペラ(海外)]

 当日券売場は、昨年までは14時オープンだったが、今年は、午前10時と午後と2回開くことになっていて、今年はリングのチケットは持っていなかったが、朝から行ってみることにした。
 朝早めに Karten Bueroに並んだので、1番目だった。ドイツ人が来るのは、早い人で9時台なので、ずっと一人だった。割りとあっさり、2枚続きの席が手に入った。それも16列の5と6という、ちょうど上のカテゴリーの境目の席で、ラッキーな気分だった。
 ヤノフスキーの音楽はよどみなく、さらさらと進んで行く。演出の変化について、一つ気づいたのは、3幕初め、演出助手Seibertが死体の役をするのだが、あまり、目立たず、何故やっているのかずっと分からなかった。ところが、今年はSeibertが衣装を着て、頭に血を塗って、死体になるまでの過程を映像で見せたため、会場が喜んでどよめいた。
 登場人物としては、一番気が小さかったGunterが、今年は大暴れ。二幕で怒狂って、ハンマーで机を叩き割ったり、音楽を邪魔する騒音もお構いななしだった。これも最後の年の余興だろうか。
 主役2人の安定感もあり、安心して見ていられた。演出に関して文句を言う人は多いが、歌手、オケはさすがだし、これだけ立派な舞台装置を見るだけでも、価値があるのでは?
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Vinke と Foster の サイン会 [オペラ(海外)]

 辺境伯書店が閉店したため、今年からサイン会会場は劇場横のSteigenbergerレストランとなった。12時20分前に到着するも、顔見知りの日本人がいるくらい、宣伝が行き届いていないのか、場所が街中から遠いからか、時間になっても、主役ふたりのサイン会にしては集まりは良くなかった。
 Foster とVinke のサイン会は、外が寒いというFosterの希望で、Steinbergerの屋内に変わった。この日、黒いスーツの彼女は、美しく魅力的だった。家族もその場にいて、この5年の間に、大人っぽくなったお嬢さんが、話題になっていた。
 数年前WeimarのSiegfriedがVinke だったことをふと思い出し、サイン会で話してみた。すると、あれは、代役で、前日、よそのプローペ、GPの後電話があり、一回歌い終えた後、Weimarに移動し、翌日本番で、とても大変だったと話してくれた。その時思い出していなかったが相手役はFosterだったようで、何年だったかと横にいたFosterに尋ねると2007年とのこと。でも私が行ったのは2011年なので、Fosterの思い違いかもしれないが、Vinkeにとっては、只一度のWeimarを聴いたことになる。その時の印象はSiegfriedが汗だくで、最後ボロボロになり、気の毒に感じたのは、あながち間違えでは無かったようだ。
http://gruen.blog.so-net.ne.jp/2011-07-12
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バイロイト音楽祭2017ートリスタンとイゾルデ(8/12) [オペラ(海外)]

 場内が暗くなって、ごめんなさいおじさんが出てきて、イゾルデ役ラングが不調のため、演技のみ行い、メルベートが歌うと説明した。Besetzungに既に書いてあるため、観客の驚きはそれほどでもなかった。
 メルベートは、舞台上手端で、譜面台に楽譜を置いて立って歌った。とても落ち着いていて、音楽も全体的に、優雅で、穏やかに進行した。ラングの演技というのがピンとこず、やはり歌わないと難しいのだろう、カーテンコールには、メルベートだけが出てきた。二幕のトリスタンとの二重唱はよく練習したとみえて、二人の距離感は全く気にならなかった。勿論離れて歌う演出もあるわけだし、どんな環境でも歌えるのが本物ということだ。マルケ王役のルネ・パペは年齢通りの風格で、今回の演出での役どころとしては、優しすぎたかもしれない。ラングだったら絶叫するのだろうなあと思いながら、穏やかなイゾルデの声に満足していた。
 ネットで取った席が気づけばMittellogeで、Ringの初年度、毎日当日券がMittellogeだったことを思い出した。奥まっているせいでオケの音が抑えられて、遠く聞こえたかもしれないと思う。席によって聞こえる音は変化する。
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Johannes Martin Kraenzle Haus Wahnfried [コンサート]

 ヴァンフリートでのコンサートを一度聞いてみたくて、友の会主催の、ベックメッサー役の、クレンツルを聞きにいった。声楽のコンサートはほとんど行かないが、曲により、変貌するキャラクターは、さすが素晴らしい。ピアノも良くて、初めのマーラーは、喉を慣らす程度だったが、Jedermann 以降、バリトンらしい、鋼のような力強い響きに魅了された。プログラム最後は、現代の作曲家Klein のjiddisch(中世ドイツ語にヘブライ語がまざった、ユダヤ人の言葉を用いた)流の12の歌。現代ドイツ語訳がプログラムに載っており、ベックメッサーの演技を連想させるような、表情豊かな歌に、時々会場から笑いが起こった。
 帰りは、どしゃ降りで、バッグの中までぐちゃぐちゃになった。
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バイロイト音楽祭2017ーヴァルキューレ [オペラ(海外)]

 第二チクルスのヴァルキューレを、5列目の端の方で見た。こんなに近くで舞台を見るのは初めてで、臨場感が違い、とても良かった。舞台の視界は狭いが、奥行が見通せたり、歌手の動きもよくわかる。
 タンホイザーの最後の年に聞いた話で、最終年は、歌手やコアも、ちょっと変わったことをして、楽しむそうだ。ちょっとしたおふざけが許されるらしい。この日のヴァルキューレでも、そんな場面があった。2幕初め、フリッカにひとしきり怒られたヴォータンが怒り心頭、左周りに一周する間に、自分の立派なあごひげをむしりとって投げた。また、ジークムントが、フンディングの館にあった自転車を倒して、騒音をたてた。ノートゥングが2箇所にあったという説もある。
 私の印象しては、登場人物たちが、とても人間臭く、確信はないが、ヴォータンが、ジークムントを倒さねばならない話をブリュンヒルデとしている時、あんなに、抱き合ったり同情しあったりしたかなぁと、気になった。映像が省略されていたという指摘もある。
 ヤノフスキの音楽は、1幕は、控え目だったが、3幕になると終始パワー全開で、すごい音量に感じた。でも、音楽で何かを語るタイプではなく、場面の状況を説明し、盛り上げる感じで、真っ直ぐな音楽だと思う。幕切れも、それほど音量は落ちなかったように聞こえた。
 辺境伯書店がなくなり、皆気になっていた、サイン会は、劇場横の、Steigenberger で行われる。
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バイロイト マイスタージンガーの舞台美術 [ドイツ]

 公演に先立ち、Taff主催の舞台美術の話、今度はマイスタージンガー。日本では、Webで一部分しか見られなかったが、ドイツに来て、ドイツ国内限定のBR-klassikの映像を、宿の今一つのネット環境の中で、廊下に5時間居座り、ようやく全部見ることができてから、翌日にTaffの話を聞いた。泊まっているドイツ人たちも、興味津々のようだった。
 雰囲気は、新国立劇場の、バックステージツアーのようだが、現場には行かず、スライドを交え実際小道具を手に取りながら話を聞いた。
 最高傑作は、"コスキーの蝋燭"だと思う。50cm位まで近づかないと、炎が、平面であることに気づかない。さらに蝋が溶けて流れる不思議さ。
 次にコーヒーカップ。割れたり滑ったりしないよう、カップの裏側とソーサーにシリコンのような、滑り止めが、塗ってある。そして、マイスターたちが、一緒にコーヒーカップをスプーンで鳴らすシーンがあるため、その音が音楽に合う音程に揃えてある。
 セットの芝生は、草一本一本が、よくある段ボール製の細紐だった。
 色々なものをネット購入して、買い揃えているそうだ。食べかけの料理も見事だった。
 ネタバレは、日本のBS放送前なので、一応このへんで。
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バイロイト音楽祭 ニュルンベルクのマイスタージンガー(8/7) [オペラ(海外)]

 今年プレミエのマイスタージンガーは、珍しくスキャンダル無しの期待の演目で、チケットのズーヘは難しいだろうと、気がひけていたが、バイロイトに入り映像を見、Taffの話を聞いたからには、臆せずズーヘするしかないと、覚悟を決めた。
 開演1時間前に着くと、すでに成功した日本人がおり、友達のドイツ人もチケットを探していた。
 幸運にも、意外とあっさり、ギャラリー席が、手に入った。視界が少し欠ける29ユーロの席で、ネット購入したが、後でもっとよいギャラリー席が手に入ったからという理由だった。さっきの友達のドイツも偶然同じ列にやってきて、お互いの幸運を喜びあった。
 3幕前に、ハンスザックス役のVolleが体調が悪いが、頑張って歌うという説明があった。確かに、映像で見たほど立派ではなかった。でも私としては、3幕になってVogt の声が時々、裏返るようなかすれるように聞こえることの方が気になった。
 舞台は、動きがあって、生き生きして、演劇のようだ。日本で音だけ聞いたとき、随分エネルギッシュに感じ、その後、コスキーがVogt の肩を揺すって演技をつけている映像を見て、活発な動きのある舞台だと認識した。喜劇として演出されている。フォークトの子供もエキストラで出演している。
 初めに、大きなぬいぐるみのような、熊のような犬が登場するが、少し前、外で見かけた時、まさか出演するとは気がつかなかった。
 1幕は、ヴァンフリートが舞台で、華やかで楽しい。リストやヴァーグナーがサロンでピアノを弾く写真やコジマの日記など、昔の資料は豊富なので、オリジナルに忠実に再現しているとのことだ。
 ベックメッサーのキャラクターは強烈で、公然と嫌われ者のレッテルが貼られている。Johannes Martin Kränzleは外見も声もよく、若々しい声のダーヴィッド役Daniel Behleと共に大きな拍手を受けていた。歌手もコーラスもエキストラも、舞台上の人たち、皆常に演技していてミュージカルの雰囲気を取り入れているような気さえする。予備知識が無くても、退屈しないだろう。Volle もGroissboeck も演技派で、強いていうなら、コジマと重なるエヴァの人物像だけはちょっと違和感があった。
 普通あまり目立たないマイスターたちの個性まで喜劇的に演出していて、いつもは素通りするマイスターたちの歌声が高らかと響いていた。Vogt の声は、本当によく通ると、聞くたびに、感心する。
Musikalische Leitung Philippe Jordan
Regie Barrie Kosky
Bühne Rebecca Ringst
Kostüm Klaus Bruns
Chorleitung Eberhard Friedrich
Dramaturgie Ulrich Lenz
Licht Franck Evin
Hans Sachs, Schuster Michael Volle
Veit Pogner, Goldschmied Günther Groissböck
Kunz Vogelgesang, Kürschner Tansel Akzeybek
Konrad Nachtigal, Spengler Armin Kolarczyk
Sixtus Beckmesser, Stadtschreiber Johannes Martin Kränzle
Fritz Kothner, Bäcker Daniel Schmutzhard
Balthasar Zorn, Zinngießer Paul Kaufmann
Ulrich Eisslinger, Würzkrämer Christopher Kaplan
Augustin Moser, Schneider Stefan Heibach
Hermann Ortel, Seifensieder Raimund Nolte
Hans Schwarz, Strumpfwirker Andreas Hörl
Hans Foltz, Kupferschmied Timo Riihonen
Walther von Stolzing Klaus Florian Vogt
David, Sachsens Lehrbube Daniel Behle
Eva, Pogners Tochter Anne Schwanewilms
Magdalene, Evas Amme Wiebke Lehmkuhl
Ein Nachtwächter Karl-Heinz Lehner (25.7. Georg Zeppenfeld)
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バイロイト パルジファルの舞台美術 [ドイツ]

 Taff会員のための、Parsifalの舞台美術についての講演があり、大道具をコンピューターで設計して、作り上げるまでのこと、様々な手作り小道具の苦労話などが紹介されました。
 Festspiele のHPのpodcast にも、公演で使う血液専用の冷蔵庫が紹介されていますが、実際3種類の食べられる血液を持ってきてくれて、私も一つ味見しました。シロップ味で、他にミントやコーヒー風味もあるらしいです。これらは、1幕の聖堂の儀式で、実際飲むとのこと。Amfortasが血液を流すタイミングは、シリコン等で作った血管を破り、音楽にあわせて、どこで、どれを流すか決まっているとのこと。
 2幕舞台左側のお風呂は、幕間に、50度に設定し、入る時点で36度になるよう準備され、積んであるバスタオルで、本当に普通に身体を拭いているとのこと。上方にある沢山の十字架は、各地の博物館などの写真を集め、作ったそうです。落ちてくる十字架は、それ専用の簡単な十字架を準備。
 3幕の舞台に散りばめられた瓦礫も、置き場所の図面があります。舞台奥の水浴(滝?)の水音は、やはり音楽の音量に合わせて、調整されるとのことです。
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自家製の血液
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Cheng-yu Moさんピアノリサイタル [コンサート]

 上海音大教授だという毛さんの演奏会がシュタイングレーバーであった。オールシューマンプログラム。選曲が個性的ではないかと思う。日本語訳では、 ダヴィッド同盟舞曲集 というらしいが、Die Davidsbündlertänze という架空の二人の人間の性格を、1部2部に分け、音楽で表現している。
 終わりに近づくほど、音楽が穏やかになり、到着翌日ということもあり睡魔に襲われた。後方では高いびきまで聞こえ、皆さんリラックスできたようだ。
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バイロイト音楽祭2017ーKinderoper 【Tannhäuser】 [オペラ(海外)]

 LHの成田便がいつの間にか無くなり、羽田便で一見便利になったようにも思えるが、出発が2時間ほど遅くなったため、欧州での当日の乗り継ぎはリスクが大きくなったかもしれない。
 今回もミュンヘン便は順調だったが、乗り継ぎのニュルンベルク便が雷とかで1時間遅れ、結局バイロイト中央駅に着いたのは夜中の23時半、夜間バスを利用してやっとホテルに入れた。

 翌日Kinderoper は 8~12才対象で、公演は、1時間。5才未満は、ご遠慮下さいということになっている。結構楽しいという噂は聞いていたが、申し込んだことは無く、今回日本人のお子さんの同伴者として、初めて見に行った。場所は祝祭劇場裏、楽屋口の方に芝居小屋がある。
 これは、期待を遥かに越えていて、本公演を知っている大人にとっては、自然に想像力で細部を補いつつ、楽しめるものだった。
 小屋のステージは横長で、客席は階段に座るタイプ。少し左寄りの舞台奥にオケ、それを囲むように、グリーンの芝生が敷き詰められ、網でできたような川が反物のように流れている。
 右手奥に、山高帽のの老人と、ショールをかけたお婆さんが座っている。左側には、ヴェーヌスベルク入り口に掛かる橋、山の上にヴェーヌスが立ち、ローブウェイのように、子供のバケツを山頂へ上げたりする。あとで気づいたが、タンホイザーは、ヴェーヌスと遊ぶのが飽きて、出て行きたいわけで、このローブウェイも、遊び一例だろう。右手には、騎士たち(遊び仲間が小道具を作っている) 途中セリフも入る。
 オケのチューニングを聞いた時点で、久しぶりに正統な西洋音楽の音がし、ドキッとした。歌手も間近で、唾を飛ばして熱唱してくれる。指揮者は暗譜で、音楽は、ヴェーヌスベルクから始まり、筋書き通りに進んだ。2幕の歌合戦では、観客に紙の王冠が配られ、一人歌うごとに、拍手と、足を鳴らすよう促される。もっと、もっとと、大音量は、元気の象徴だ。
 ローマとはっきり言わなかったと思うが、タンホイザーは改心の旅に出る。一方、エリーザベトは、マリアに祈るが、その時、右手奥の二人の役割が出る。男性は、タンホイザーを突き放し、お婆さんは振り返ると水色の網のような川を編んでおり、エリーザベトの話に耳を傾ける。
 綺麗な音楽から、一変し、ローマ語り抜粋では、客席が少しざわついた。怖かったのではないだろうか。
 幕切れは、エリーザベトが、お婆さんと話した結構、また、タンホイザーと一緒に遊ぶのを許され、めでたしめだし。おしまい。

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Andiamo Part2 第1回 浜離宮ホール [コンサート]

 岡本侑也さんはエリザベートコンクール2位受賞後、最初の日本での演奏会、ピアニストの大須賀恵里さんが主催するシリーズで、弦楽器奏者3名は、ゲストとのことだった。
 ばったり出会ったアマオケVnの友人と、連れ合いと3人に共通した感想は、奏者たちのうまさ、抜群の調和だ。お互いに合わせようと、最大の敬意を払いつつ進行する音楽は、とても美しい。最初のパッサカリアも、音色や、奏でる言葉づかいとでも言おうか、弾き方が二人がぴったり合って、一瞬の隙もなく、引き込まれた。有名な曲だが、こういう風に、限界までアンサンブルを追求する演奏に出合ったのは初めてだ。3曲とも、多分1~2回の合わせで、ここまで聞き合えるとは、皆さんの集中力に感服する。
 岡本さんはコンクール後、大学卒業のため、ミュンヘンで多忙な日を送ったらしく、痩せてしまった感じがしたが、楽器はよく鳴り、繊細さにスケールの大きさが加味され、アクロバットアンサンブルを楽しんでいるように見えた。演奏相手が違うが、半年前に聞いた同じモーツァルトのピアノクァルテットとは、聞き手の満足感が違う。ブラームスは、ピアノにかき消されることがよくあるが、大須賀さんのピアノは、節度があり、弦楽器3人を邪魔せず、4楽章最後の弦楽器の盛り上がりが、あそこまではっきり聞こえる演奏を聞けて、感激した。
 
出演:
大須賀恵里(ピアノ)
スヴェトリン・ルセフ(ヴァイオリン)
佐々木亮(ヴィオラ)
岡本侑也(チェロ)

曲目・演目:
ヘンデル=ハルヴォルセン:パッサカリア
モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 KV478
ブラームス:ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25
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新国立劇場-ジークフリート②楽日 [オペラ(国内)]

 楽日の席は4階1列目、私の場合は、手すりが邪魔で、結局手すりと壁の隙間から、双眼鏡を覗く姿勢で見ることになる。先週バックステージの説明を聞いたので、今日は視覚優先で、特に一幕は細かい動きを見るようにした。でも、何故か、鍛冶場面で前回に比べほとんど火花が散らず、少し残念。ミーメは、今日は上手に卵を割った。この舞台は、トンネルリングの完成形だと、先週説明があった。3幕の三角形の舞台は、キース・ウォーナーのTokyo Ringにも影響を与えたとも言っていた。
 音楽は、オケが慣れて来たのだろう、先週よりも、飯守節になっていた。金管を鳴らし、ちょっと私の耳の状態では、オケがうるさかった。でも歌の場面では、さっと音量が下がるので、そこは良い感じだ。きっと一階席のお客様が満足するような音量になっているのだろう。4階席からは、一切オケが見えないが、横のZ席から覗いてみたかった。
 2幕は、ファーフナーの手(足?)に窓が2つ見えるが、人が二人入っているそうだ。後ろから空気を送って膨らませるのだが、音がうるさいので、初めは少しずつ、オケの音量が上がったところで、一気に入れるらしい。今回は、3幕も歌手の表情を見続けたが、正規の演出なのか、二人とも思う存分、なりきって演技してくれた。酷評される心配のないaway公演の解放感があるのかなぁと想像したりもする。主役二人を見ていて、本当に、"愛する"とはどういうことなのか、考えさせられた。リングの筋書きにはすっかり馴染みになっているものの、ヴォータンに対する忖度も加わりブリュンヒルデが引き起こした事件の顛末を思うと、同情の余地ある登場人物ばかりだ。今年の秋には黄昏が聞ける。一年でリング2作品とは快挙だ。

Siegfried:ステファン・グールド
Mime:アンドレアス・ コンラッド
Der Wanderer:グリア・グリムスレイ
Alberich:トーマス・ガゼリ
Fafner:クリスティアン・ ヒュープナー
Erda:クリスタ・マイヤー
Brünnhilde:リカルダ・メルベート
Waldvögel:鵜木絵里、九嶋香奈枝、安井陽子、吉原圭子
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読響・第603回名曲シリーズー宮田大 [コンサート]

 宮田大さんのショスタコ1番を聴いてみたくて、出かけた。私の印象では宮田さんの音楽は落ち着いていて、余裕があった。ブリュッセルのコンクールでショスタコの熱演ばかり聴いてきたせいか、とても老成した音楽のように聞こえた。
 若い人の演奏に心打たれるとき、その要因は何だろう。まずは生気、高みへ挑戦する意欲、万全の準備、豊かな個性など、向こうで感じたことだ。宮田さんも世界のトップクラスの演奏家だと思うが、今日は適度に自重しているように感じられた。一楽章はまだよく音が鳴らず、2、3楽章は美しく豊かに歌ってくれて、4楽章で締めて、無難な演奏だった。テンポも、思ったよりゆっくりで、安心して聞ける。この作品は、追い詰められたり、切迫感があるのが魅力でもあると思っていたが、エリザベート3位の人は、テンポは速くても、温かい音だったし、今回は、余裕のある音、いろいろな可能性があるようだ。
 休憩後のシェエラザードは、読響木管楽器の名人芸を聴かせて貰った。素晴らしい。

指揮=ダニエル・ブレンドゥルフ
チェロ=宮田 大

シベリウス:組曲「レンミンカイネン」から"トゥオネラの白鳥"
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲 第1番 変ホ長調 作品107
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」作品35
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METライブビューイング 《ばらの騎士》 [映像・放送]

 Wagner 以外のライヴヴューイングは初めてだが、フレミングとガランチャがこの役は最後ということで、見に行った。映画作品として、歌と演技のレヴェルの高さに感嘆した。もう演じている感じがせず、作品中の人物を全人格的に体現して、どこから見ても、100%マーシヤリン、オクタヴィアン、オックスという人間だった。
 去年夏、バイエルンのペトレンコ指揮のばら騎士で、グロイスベックは、初めてオックスを演じたのではなかっただろうか。歌より自転車競技が良いと言うほどのスポーツマン、高貴な雰囲気の漂うグロイスベックが、どんなオックスを演じるかと話題になったが、metでは、カッコいい残像すらよみがえらないほどの、ダメ男を演じた。設定が19世紀末ハプスブルグ家崩壊直前で、オックスは、よくある、バイエルンの田舎者ではなく、軍服を脱ぐと下品さがみなぎる軍人だった。インタヴューでは、楽譜に沿って役を演じたと。特に下品にという指示はないと、新たなオックス像を樹立したようだ。
 ロバート・カーセンの演出では、3幕が驚きの娼婦の館。衣装は当時のものなのか、よく分からないが、上下に分かれたコルセットに靴下止め、ガウンを羽織るスタイル。オクタヴィアンもそのスタイルで、オックスに迫り、オックスの方が、たじたじになる。お化けが出る場面は、壁の絵画が下がり、女性の飾り窓となり、オックスが怯える。お決まりの鬘の場面も良くできている。一幕で、マルシェリンの髪を整えるのは、かつら担当の技術者で、衣装をつけて舞台に登場した。
 一幕の最後も、三幕の見せ場も、フレミングは素晴らしく、活発なゾフィーのキャラクターも、劇の進行に矛盾なく、最後はやはり涙を誘う。ガランチャは、本当に男性に見えるときもあり、さすがmetのばらの騎士、殿堂入り、恐れ入りました。

2017年5月13日楽日の上演
元帥夫人 :ルネ・フレミング
オクタヴィアン: エリーナ・ガランチャ
ゾフィー:エリン・モーリー
オックス男爵:ギュンター・グロイスベック
ファーニナル:マーカス・ブルック
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新国立劇場-ジークフリート [オペラ(国内)]

 四日目の公演に行った。何も前評判を聞いていなかったが、期待以上で、東京交響楽団が結構つぼにはまっていて、ポジティヴに驚いた。今までしかたなく聞いていた東フィルのあの残念なワーグナーは何だったのか。誰のせいだったのだろう。指揮者とオケの相性だろうか。始まりのFgはスラーじゃないなぁと、警戒したが、すぐに雰囲気が出てきて、テンポ感も、音量も、一、二幕はとても良かった。三幕だけは、力尽きたのか、弦も金管もばらばらになってしまったが、全体的にはヴァルキューレをはるかに凌ぐ実力だったと思う。舞台もノーマルで、私は気に入った。
 ステファン・グールドはじめ、歌手の皆さんも、とても良かった。やっぱりリングはいいなあと、どっぷり浸かって、時々ペトレンコのジークフリートを思い出しながら、ワーグナーを享受した。
 この日運良く、初めて、バックステージツアーに当選した。公演中の大道具の多くが、手動であり、だからこそ、自然に見えるという話は意外だった。一幕のミーメの小屋の鍛冶のセットが見事で、ジークフリートがトンテンカン刀を叩き、火花を散らしながら歌う見せ場は歌手の器用さがかなり関係する。この火花に関しては、初日にご観覧された皇太子殿下からのも、どのようにしているか質問が出たそうだ。グールドは器用で、両手を使って音と火花も同時に出しているとのこと。確かに金槌の音とオケがずれてしまう本番もお目にかかったことがある。このプロダクションでは、森の小鳥は4人出てくるが、そのうち最初の3人は2幕初めから木に登って出番を待っているとのこと。狭い場所で大変な仕事だ。3幕は、主役二人の表情や演技がとても自然で、清々しいプロダクションが見られて、良かったと思う。

Siegfried:ステファン・グールド
Mime:アンドレアス・ コンラッド
Der Wanderer:グリア・グリムスレイ
Alberich:トーマス・ガゼリ
Fafner:クリスティアン・ ヒュープナー
Erda:クリスタ・マイヤー
Brünnhilde:リカルダ・メルベート
Waldvögel:鵜木絵里、九嶋香奈枝、安井陽子、吉原圭子
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バイエルン国立歌劇場ータンホイザー‎(ペトレンコ) [オペラ(海外)]

 昨晩、コンクールの発表が深夜だったので、1時にホテルに戻った。翌朝6/4は朝一のLHでブリュッセルからミュンヘンへ。お目当てはペトレンコのタンホイザー、今秋の来日公演の演目で、先週がプレミエ、勿論チケットは早々に売り切れで、ブリュッセルから4回電話して、戻りチケットのことを聞いたが、どの日も無いと言われ、suche する覚悟を決めた。
 友達の家に荷物を置き、Yuyaさんの写真、ビデオ、インタビューなど、タブレットで見せると、彼女も一緒にsucheすると、言ってくれた。そして、タンホイザーに失敗したときは、夜レジデンツの キュヴィリエ劇場のコンサートがあるからと励ましてくれた。
 二人で14:30劇場前でTannhaeuser のsuche Karte を開始した。開演は16時。すでに、10人くらい、sucheしていた。3時頃だったか、フランス人女性が、チケットを持って、階段を上がってきたので、直ぐアイコンタクトで、近づいた。パルケットの良い席(カテゴリー1)だったので、決断。友達は、3:30頃まで、うろうろしてみたが、結局帰ったそうだ。
 演出はネットにある通りで、日本語でも来日公演の解説が詳しく出ている。 
 個人的には、ペトレンコの精緻で流麗な音楽に魅了され、特に1幕は、別の作品の如く、全く音楽が途切れず、音量も控え目、歌も、力んだり、叫んだりすることなく、例えるなら、公演全体が、フォークトの声のように爽やかで、舞台上で度々風に揺れる、レースのカーテンは、音楽のイメージそのものだった。フォークトは、ローマ語りの最後で少し喉を絞ったが、それまでは、ローエングリンのようだった。
 友達の家に帰ると、シュパーゲルが用意されていた。旅の始まりは、不安なことばかりだったが、すべて、希望が叶い、帰途につくことができた。

Musikalische Leitung:Kirill Petrenko
Hermann, Landgraf von Thüringen:Georg Zeppenfeld
Tannhäuser:Klaus Florian Vogt
Wolfram von Eschenbach:Christian Gerhaher
Walther von der Vogelweide:Dean Power
Biterolf:Peter Lobert
Heinrich der Schreiber:Ulrich Reß
Reinmar von Zweter:Ralf Lukas
Elisabeth, Nichte des Landgrafen:Anja Harteros
Venus:Elena Pankratova
Ein junger Hirt:Elsa Benoit
Vier Edelknaben:Solist/en des Tölzer Knabenchors
ミュンヘン空港にて
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エリザベートコンクール2017--Final6(結果発表) [コンサート]

 コンクール最終日、今日もチケットが無いため、早めの17時頃会場に行って、当日券を手に入れた。一人目のVictorさんは、本当に本選全員の中で、最高に素晴らしい、理想的な演奏だった。
・Victor Julien-Laferrière [Shostakovich, Concerto n. 1 in E flat major op. 107]
 パリ生まれのフランス人、プラハの春国際コンクールをドヴォコンで優勝しているそうだが、今日はショスタコーヴィッチ。すでに、CDもリリースしている。
 二人目は、Mr. Ivan Karizna [Shostakovich, Concerto n. 1 in E flat major op. 107]は、ベラルーシ出身、純朴で懐かしいようなショスタコを聞くことができた。
 22:30頃演奏は終了し、午前零時ごろから結果発表があった。帰る人もおり、客席は自由席と現地の方から教わり、一緒に前から5列目に陣取った。
 ステージ上には、審査員席と後ろに12脚の椅子がならべられ、審査員入場後、王妃がご臨席され、審査員長が一位から、一人ずつ発表すると、舞台袖から出てきて、審査員の先生一人一人と握手し、ホストファミリーらしき人から、花束をうけとり、審査員後ろの席に回る。
 結果一位は、今日演奏した、Victor Julien-Laferrière 、二位がYuya Okamoto、三位が、昨日暖かみのある音だった、コロンビアのSantiago Cañón-Valencia 。私としても全く異存ない順位だと思い、審査員の先生方に感謝だ。Yuyaさん、本当におめでとうございます。
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エリザベートコンクール2017--Final5 [コンサート]

 岡本さんの演奏が終わってしまって、何だか気が抜けたが、コンクールはまだまだ続く。今日と明日の最終2日間は、5月中旬時点でチケットが売り切れていたが、6/2当日に、舞台は見えないが聞くだけの席が出ると前日に言われ、17:45買いに行った。オケとソロとどちらが見たいか聞かれ、ソロの見える一番良い席をお願いすると、2Rang 中央6列目の席をくれた(12ユーロ)。最終日は、もう少し早く来た方が良いと言われた。
 座ってみると、音は小さいが、中央端の席なので、体をずらせば、真っ正面にソリストは見えた。

・Bruno Philippe [Dvořák, Concerto n. 2 in B minor op. 104]
フランス人、2014年ミュンヘンARD3位, フォイヤマン、2015年チャイコフスキーなどのコンクールで賞をとり、演奏活動している。ここで頑張ってキャリアアップ組、と言ってもまだ23才。

・Santiago Cañón-Valencia [Shostakovich, Concerto n. 1 in E flat major op. 107]
コロンビア出身、色々な国際コンクールで受賞。ヴァイマールのリスト音楽院卒業。長髪!

 評価の高いPhilipe さんの演奏を聞くと、優雅であり、強烈なところもあり、個性もあって、さすが、整っている印象だった。フレーズの頭を強調するのは、ヨーロッパ言語圏では、良しとされているのだろう。これは、以前ミュンヘンのコンクールを聞いたときにも感じたことだ。やはり、舞台が暑かったので、ドヴォコンの序奏が終わり、ソロが入るまでに、弦が下がってしまったのか、Yuyaさんと同じく低めの音程で出た。多分、シューマン、ショスタコより、ドヴォコンの方が、ハーモニーが要求されるため、音程(調弦の正確さ)が影響するのではないだろうか。一楽章の難所も、苦労しており、昨日を思い出す。ミュンヘンコンクール3位の人でも、いつもスイスイとはいかないのか。歌い方の好みは様々だが、私には、ちょっと合わないところがあった。
 二人目、コロンビアの人は、音がとてもまろやかで、角がない。Sublimationも乱暴な音は無かった気がする。たまたま、コンクールの映像のページで、マイスキーが叩きつけるような奏法でショスタコを解説しているのを見た後だったため、このように、丸い優しい音で奏でるショスタコは、めったに聞けないかもしれないと思った。

 20時開演まで時間待ちで、眺めのよい芸術の丘で、夕涼み。目の前は、王立図書館。15年以上前のアマオケの演奏旅行の時、よくわからず、三日間通い、7ユーロの当日入館証を作って、バッハ無伴奏5番の、アンナ・マグダレーナのオリジナル楽譜を見せてもらい、ファクシミリを売店で買って帰った。今日では、普通にオリジナルのコピーが出版されている。
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エリザベートコンクール2017--Final4 [コンサート]

 いよいよ岡本さんが弾くする4日目となった。一人目は、
・JeongHyoun (Christine) Lee
 fainalに残った韓国人は2名とも女性、曲はシューマン。ソウル生まれでアメリカで学び、既に欧米でかなりのキャリアだが、最近はここブリュッセルでも学んでいる。
 彼女は、Sublimationが始まってすぐ、情熱的に弾きすぎたかのように、弦を切って、出直してきた。
 でも、とても明るい、ひとなつっこい性格のようで、終始楽しそうに演奏した。私は昨日まで、三階席だったが、運よく昨日、今日の平土間の戻りチケットを手に入れた。そういうわけで、Sublimationは、色々な楽器の音色を、間近で聞くことができた。彼女のシューマンは、楽々と悩ましさもなく、聞き手を鬱々とさせることはない。
 岡本さんは、今まで聞いてきた人とは、全く違うタイプだった。痩せているせいもあるが、体をしならせ、のけ反りながら弾く人ばかり見てきたため、初めは、非力に受け取られはしないか心配になった。でも、Sublimation でソロが、堂々と目立つ必要が、果たしてあるのかなと気づいた。思い悩む人の声が、自然を突き抜けて轟くだろうかと。時には自然(オケパート)に埋もれながら、自分を探し昇華すると考えると、音が大きければいいのかと問いたい。
 岡本さんのドヴォコンは、聞く度に繊細になって行くようだ。とにかく舞台が暑いらしく、大汗をかき、弦は下がり、いつものようにスイスイとは感じられなかった。あまり調弦しない人もいるということは、暑さに強い弦なども工夫する必要があるのかもしれない。
 岡本さんの繊細で深い解釈のドヴォコンは、新境地と言えはしないだろうか。聴衆を次第に引き込み、集中させて行ったように思う。平土間席では、立ち上がって拍手する人が多数いて、毎年来ている人の評判は良かった。
 常連さんの日本人と一緒に、出待ちしたが、まず、ドイツPresseの取材を控え室の方で受けているとのことで、一向に出て来ない。確かに、ドイツ人は本選に残らなかったので、ミュンヘン音大生のYuyaは、重大な取材対象かもしれない。日本人の取材が終わると、午前零時時だった。
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一人目奏者Lee さんと
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日本メディアの取材
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エリザベートコンクール2017--Final3 [コンサート]

 今日で3日目だが、これが終わってやっと半分、審査員の方々は本当に大変だ。

・Maciej Kułakowski
 ポーランド人だがドイツで勉強している。若いがかなりのコンクール歴。日本には来ていないようだが、欧州各地で演奏している。曲は、ショスタコ。
Instrument : Charles Gaillard (1867), loaned by the Deutsche Stiftung Musikleben

・Seungmin Kang (ソンミンカン)
 韓国人女性、10年前の八王子・カサドコンクールで優勝している。1987年生まれということで、プロとしてのキャリアも長く、本選出場者では最年長だ(80年代生まれはひとりだけ)。曲はドヴォコン。
Instrument : Vincenzo Trusiano Panormo (1811)

 開演前、初めて会場で、細川先生が紹介された。見えなかったが、国王ご夫妻もご臨席されたはず。
 今日の席は2Rang の中央と左側の境、4列目。昨日までと雰囲気が違い、舞台が見えない席が多く、移動しては、戻って来る人続出。私は手すりの隙間から見えたのだが、いざ始まると、前の人が前のめりになり、シャットアウトされ、一人目のショスタコは、立って聞いた。一楽章が終わったところで2Rang 奥の方で、拍手が起きたり、演奏中1Rang仕切り席の警備員の無線の声が、ラジオのように、間近に飛んできたり、間の悪い咳をする人も多く、気の毒だった。
 休憩で帰った人もいて、後半は、急に席があいた。思うに、観劇気分で国王ご夫妻を見にきて、ちょっと音楽聞いて帰り16ユーロなら、お手ごろな値段なのかもしれない。
 Kułakowskiさんの音は、とても真面目で誠実、音楽の細部まて納得行くまで追及しそうな感じ。必要以上になパフォーマンスは無く、地味だが、テクニックの素晴らしさは言うまでもなく、音楽はさらに深い。そういう意味では、前日二人目Pascal さんには、華やかさがあった。Sublimation は、pizzが、ギターの音のように、軽かったのが、印象に残ったが、作品との一体感というか、繊細なオケとの調和があったと思う。
 ソンミンカンさんは、対照的で、終始思いの丈を投入する、情熱的な演奏だった。Sublimationの東洋的な音はさすが手慣れており、京劇の音ように聞こえるところもあった。pizzでは、さっきはギターみたいだったのに、バチバチやったので、前の席の人が驚いていたようだ。残念だったのは、ドヴォコンで3楽章で、オケとずれてしまったことだ。彼女は良くテンポを変え、マイスキーみたいに、最後をはしょるような弾き方をするので、トリルの小節が詰まったのに、オケが対応できなかったのではないだろうか。録音を聞いてみないと、確かなところは分からないが。その直後、泣きそうに悲しいメロディを歌い、軽快に、コンマスとのデュエットに入った。彼女の熱演に、聴衆が湧き、2Rangでは立ち上がって拍手する人も沢山いた。

写真は、昼間見たマグリット、ブリューゲル、ダリ
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エリザベートコンクール2017--Final2 [コンサート]

・Yan Levionnois
 フランス人で、数々のコンクールに通っている。かっこいいWebページを持っていて、それによると新作の楽器と弓を使っているようだ。Instrument : Patrick Robin

・Aurelien Pascal
 この人もフランス人、コンクール歴も凄いし、日本でもコンチェルトやリサイタルをやっている。
Instrument : Charles-Adolphe Gand (1850)

 今日の席は2Rのバルコニーの舞台に一番近い端の最後列。柱の横に、ちょうどソリストと指揮者の視界が確保できる。審査員の先生方を見ていると、細川作品のスコアを真剣に見ている方、ただ静かに座っているだけのように見える方、様々だが、教育者と演奏家の違いのようなものかなと思った。
 この日、二人の演奏を聴いて思ったのは、審査員の先生方が嫉妬するような音楽が、一位になるのではないかという感覚。自由曲は、自由におやりなさい、でも、委嘱作品は、念入りに聴きましょう、とでも思っているかのように、自由曲が終わっても、特に反応はないが、細川作品の後は、お隣どうし、話している様子が見える。
 二人目のPascal さんは、演奏家として完成されている印象で、キャリアアップの為に来たタイプだろうか。細川作品も音づかいに工夫があり、ショスタコも、素晴らしく、拍手がすごかった。二次予選でも感じたが、ソリストに合わせオケは変化するので、素晴らしく調和のある、ショスタコだった。
 Levionnoisさんも、勿論素晴らしいが、ドヴォコンで、審査員の先生方をうならせるような演奏を披露するのは、なかなか難しい気がする。オケをリードするようなドヴォコンを、今後聴くことが出来るだろうか。

この日の視界
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細川作品の打楽器 ティンパニ上の黒色のりん?の音色が美しい
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審査員席の後ろに細川先生
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